【歯科衛生士】気になる転職回数…面接でどうカバーする?

転職を重ねてしまった歯科衛生士の皆さん、面接で転職回数を聞かれるたびに心が重くなっていませんか?
「また辞めてしまった」という罪悪感や、「今度こそ長く続けたい」という気持ちを抱えながらも、どう説明すれば良いのか分からず悩んでいる方も多いはず。
でも実は、転職回数が多いことは決してマイナスなことばかりではありません。適切な伝え方と自己分析により、豊富な経験として捉え直すことができるんです。
本記事では、転職回数の多い歯科衛生士が面接で自信を持って自分をアピールする方法と、今後のキャリア形成のヒントをお伝えしていきます。
「また辞めてしまった…」転職を繰り返す歯科衛生士はあなただけじゃない

転職を繰り返してしまう歯科衛生士は決して珍しい存在ではありません。
厚生労働省の調査によると、歯科衛生士の離職率は他の医療職と比較しても高い傾向にあり、特に20代後半から30代前半の転職が多いことが分かっています。
歯科医院という小規模な職場では、人間関係の問題や院長の経営方針との相違、患者対応のストレスなど、様々な要因が重なりやすい環境にあるのも事実。
また、歯科衛生士は専門職として高い技術力を求められる一方で、職場によって業務内容や労働条件に大きな差があることも、転職を考える理由として挙げられるでしょう。
実際に、多くの歯科衛生士が「理想の職場を求めて」転職を重ねているのが現実なんです。
重要なのは、転職回数の多さを恥じることではなく、なぜ転職を繰り返してしまうのかを客観的に分析し、次のキャリアステップに活かしていくこと。
この視点を持つことで、転職経験を価値あるものに変えることができます。
正直なところ、採用担当者は転職回数をどう見ている?
採用側が転職回数をどのように評価しているのかを理解することで、面接での対策も立てやすくなります。転職回数そのものよりも、その背景にある理由と一貫性を重視する傾向があることを知っておきましょう。
転職回数そのものより「退職理由」と「一貫性」が重要
多くの採用担当者は、転職回数の数字だけで判断することはありません。
むしろ重視しているのは、それぞれの転職にどのような理由があったのか、そしてキャリア全体を通じて一貫した目標や価値観があるかどうかです。
例えば、「スキルアップのため」「より良い患者ケアを提供したい」「専門性を高めたい」など、前向きな理由で転職を重ねている場合は、成長意欲の高い人材として評価されることもあります
。逆に、毎回同じような理由で短期間で退職を繰り返している場合は、問題解決能力や適応能力について疑問視される可能性があるでしょう。
転職理由に一貫性があり、それが応募先の医院の理念や求める人材像と合致していれば、転職回数は大きな問題にはなりません。大切なのは、自分なりのキャリアストーリーを持っていることなんです。
採用側が懸念する3つのポイントとは?
採用担当者が転職回数の多い応募者に対して抱く主な懸念点を理解しておくことで、面接での対策を立てやすくなります。
1. 継続性への不安
「また短期間で辞めてしまうのではないか」という懸念が最も大きいもの。採用には時間とコストがかかるため、長期間働いてくれる人材を求めているのが実情です。
2. 適応能力の問題
複数の職場で続かなかった場合、新しい環境への適応が困難なのではないかと判断される可能性があります。特に、人間関係やコミュニケーション能力に関して疑問視されることがあるでしょう。
3. 問題解決能力の不足
困難な状況に直面した際に、問題を解決する努力をせずに転職という選択肢を選んでしまう傾向があるのではないかと懸念されがちです。
懸念ポイント | 採用側の心配事 | 対策のポイント |
継続性 | また短期間で辞めるのでは? | 長期的なキャリアビジョンを明確に示す |
適応能力 | 新しい環境に馴染めない? | 過去の経験から学んだことを具体的に説明 |
問題解決能力 | 困難から逃げる傾向がある? | 転職理由をポジティブに変換して伝える |
なぜ?転職を繰り返してしまう根本原因を自己分析しよう
転職を繰り返してしまう背景には、必ず根本的な原因があるもの。同じパターンを繰り返さないためにも、まずは自分自身を客観視することが大切です。
1. 職場選びの軸が定まっていない
転職を繰り返す大きな要因の一つが、職場選びの基準が曖昧であることです。
「なんとなく良さそう」「給与が少し高い」「家から近い」といった表面的な条件だけで転職先を決めてしまうと、実際に働き始めてから「思っていたのと違う」というギャップを感じやすくなってしまいます。
重要なのは、自分が仕事において何を最も重視するかを明確にすること。
例えば、「患者さんとじっくり向き合える環境」「最新の技術を学べる職場」「チームワークを大切にする文化」など、譲れない価値観を整理しておくことが必要です。
また、優先順位をつけることも大切でしょう。
すべての条件を満たす完璧な職場は存在しないため、自分にとって最も重要な要素を2〜3つに絞り込んでおくことで、現実的な職場選びができるようになります。
2. 理想と現実のギャップに悩んでしまう
歯科衛生士として働く中で、理想と現実のギャップに直面することは避けられません。しかし、このギャップを受け入れられずに転職を繰り返してしまうケースが多く見られます。
例えば、「もっと予防歯科に力を入れたい」と思っても、実際の現場では治療がメインで予防業務が少ない、「患者さん一人ひとりに十分な時間をかけたい」と思っても、効率性を重視した診療体制になっているなど、様々なギャップが生じるものです。
理想を持つことは素晴らしいことですが、現実を受け入れながら、その中でできることを見つけていく柔軟性も必要でしょう。
理想に向かって努力する姿勢を保ちつつ、現在の環境でも成長できる要素を見つけることが、長期的なキャリア形成につながります。
3. ストレスへの対処法が「退職」になっている
職場でストレスを感じた際の対処法が「退職」になってしまっている場合、同じパターンを繰り返しやすくなってしまいます。どの職場にも何らかのストレス要因は存在するため、根本的な解決策を身につけることが重要です。
ストレス対処法としては、まず問題を整理することから始めてみましょう。
「解決可能な問題」と「受け入れるべき現実」を分けて考えることで、建設的な対応ができるようになります。解決可能な問題については、上司や同僚に相談したり、改善案を提案したりするなど、積極的なアプローチを取ることが大切です。
また、仕事以外でのストレス発散方法を見つけることも重要でしょう。趣味や運動、友人との時間など、仕事の悩みを一時的に忘れられる活動を持つことで、精神的な余裕を保つことができます。
転職回数を強みに変える!面接での伝え方【例文あり】
転職回数が多いことを面接でどう伝えるかによって、採用担当者の印象は大きく変わるもの。適切な伝え方を身につけることで、転職回数を強みとしてアピールすることが可能です。
まずはコレ!転職理由をポジティブに変換する基本ルール
転職理由をポジティブに伝えるための基本的なルールを押さえておきましょう。まず重要なのは、退職理由を前向きな成長機会として捉え直すことです。
基本ルール1:過去の経験から学んだことを強調する
単に「合わなかった」で終わらせるのではなく、その経験から何を学び、どう成長したかを具体的に説明します。
基本ルール2:次の職場でどう活かすかを明確にする
過去の経験をどのように次の職場で活かしていくかを具体的に述べることで、前向きな印象を与えられます。
基本ルール3:一貫したキャリアビジョンを示す
転職を重ねる中でも、一貫した目標や価値観があることを伝えることで、計画性のある人材として評価されるでしょう。
【NG例 vs OK例】印象がガラリと変わる伝え方
同じ転職理由でも、伝え方によって印象は大きく変わります。具体的な例を見ながら、効果的な伝え方を学んでいきましょう。
退職理由が「人間関係」の場合
NG例: 「前の職場では院長やスタッフとの人間関係が悪く、ストレスが溜まって辞めました。今度は人間関係の良い職場で働きたいです。」
OK例: 「前職では、より良いチーム医療を実現するために、スタッフ間のコミュニケーション改善について積極的に提案してきました。その経験を通じて、多様な価値観を持つ人たちと協働することの大切さを学ぶことができました。御院では、これまでの経験を活かして、患者さんにとって最良の医療を提供できるチームの一員として貢献したいと考えています。」
退職理由が「給与・待遇」の場合
NG例: 「給与が安くて生活が苦しかったので転職しました。もっと良い条件で働きたいです。」
OK例: 「これまでの経験を通じて、歯科衛生士としての専門性をより高めたいという思いが強くなりました。専門スキルに見合った評価を受けられる環境で、患者さんにより質の高いケアを提供したいと考え、転職を決意いたします。御院では、持続可能なキャリア形成を図りながら、長期的に貢献していきたいと思っています。」
退職理由が「スキルアップできない」の場合
NG例: 「前の職場では新しいことを学べず、成長できなかったので辞めました。」
OK例: 「前職では基礎的な業務をしっかりと身につけることができました。その基盤の上に、さらに専門性の高い技術や知識を積み重ねたいという向上心が芽生え、より多様な症例や最新の治療法に触れられる環境を求めて転職を考えました。御院の先進的な取り組みに魅力を感じ、ここでなら自分の目指す歯科衛生士像に近づけると確信しています。」
「多くの職場を経験したからこそ」貢献できることをアピールする
転職回数の多さを逆手に取って、豊富な経験を強みとしてアピールすることも重要でしょう。
複数の職場で働いた経験は、多様な患者層への対応力、様々な治療方針への理解、異なる職場環境への適応力など、多くの学びをもたらしてくれます。
例えば、
「これまで○つの医院で働く中で、小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんと接してきました。それぞれの医院で異なるアプローチを学んだことで、患者さん一人ひとりに最適なケアを提供する力が身についたと実感しています」
といった具体的なアピールが効果的です。
また、「様々な規模の医院を経験したことで、効率的な業務の進め方と丁寧な患者対応の両立について深く理解することができました」など、経験の幅広さが実務に活かせることを示すことも大切でしょう。
「次こそ最後の転職に」後悔しない職場選びの3つのコツ

転職を繰り返さないためには、職場選びの段階での見極めが重要です。
長期的に働き続けられる職場を見つけるための具体的なコツをご紹介していきます。
求人票だけでは分からない!医院見学で見るべきポイント
求人票の条件だけで判断せず、実際に職場を見学することで、より正確な情報を得ることができます。医院見学では、以下の点を重点的にチェックしてみましょう。
スタッフ同士のコミュニケーション
スタッフ同士がどのように連携を取っているか、会話の雰囲気はどうかを観察してみてください。自然な笑顔や建設的な会話が見られる職場は、働きやすい環境である可能性が高いでしょう。
患者さんへの対応
患者さんに対してどのような姿勢で接しているかを見ることで、その医院の医療に対する考え方や文化を理解できます。丁寧で温かい対応をしている職場は、スタッフも大切にされている傾向があるでしょう。
設備や環境の整備状況
清潔で整理整頓された環境は、医院の経営状況や院長の方針を反映しています。最新の設備があるかどうかだけでなく、既存の設備が適切にメンテナンスされているかも重要なポイントです。
面接は「見極められる場」ではなく「自分に合うか見極める場」
面接は一方的に評価される場ではなく、お互いの相性を確認する場として捉えることが重要でしょう。遠慮せずに、働く上で重要な質問をしてみてください。
具体的な業務内容について詳しく聞く
「1日のスケジュール」「担当する患者数」「どのような処置を行うか」など、実際の業務内容を具体的に確認しておくことが大切です。
職場の雰囲気や人間関係について質問する
「スタッフの年齢層」「チームワークを大切にしている取り組み」「新人へのサポート体制」などを聞くことで、職場環境を把握できるでしょう。
キャリアアップの機会について確認する
「研修制度」「学会参加の支援」「新しい技術を学ぶ機会」などについて質問し、成長できる環境かどうかを見極めることも重要です。
どうしても合わない時のために「お試し期間」の活用も検討
正式な採用前に、短期間の勤務やアルバイトとして働く「お試し期間」を設けることで、実際の職場環境を体験できる場合があります。
この制度を活用することで、双方のミスマッチを防ぐことができるでしょう。
お試し期間中は、実際の業務を通じて職場の雰囲気やスタッフとの相性を確認できます。また、院長や同僚の人柄、患者さんとの関わり方なども直接体験できるため、より正確な判断材料を得ることができるでしょう。
ただし、お試し期間を設ける際は、双方の期待値を明確にしておくことが大切です。評価基準や正式採用への移行条件などを事前に確認し、お互いに納得した上で進めることが重要でしょう。
視野を広げよう!正社員にこだわらない歯科衛生士の働き方
転職を繰り返してしまう場合、従来の正社員という働き方以外の選択肢も検討してみることが有効です。多様な働き方を知ることで、自分に最適なキャリアパスを見つけることができるでしょう。
派遣やパートで自分に合う職場を探すという選択肢
派遣やパートとして働くことで、様々な職場を体験しながら自分に合う環境を見つけるという方法があります。この働き方のメリットは、複数の職場を経験することで、自分の価値観や適性をより深く理解できることです。
派遣歯科衛生士として働く場合、短期間で様々な医院を経験できるため、どのような職場環境が自分に適しているかを効率的に見極めることができるでしょう。また、特定の医院に縛られることなく、プライベートとの両立も図りやすいという利点があります。
パートタイムでの勤務も、ワークライフバランスを重視する方にとって魅力的な選択肢です。週3日勤務や午前中のみの勤務など、柔軟な働き方が可能で、その分、仕事以外の時間を自己投資や家族との時間に充てることができます。
さらに、派遣やパートから正社員に移行するケースも多く、「お試し期間」として活用することも可能です。実際に働いてみて職場環境が合うと感じた場合に、正社員として転職するという段階的なアプローチを取ることで、失敗のリスクを軽減できるでしょう。
専門性を活かしてフリーランスとして働く道も
歯科衛生士の専門知識と技術を活かして、フリーランスとして独立する道もあります。近年、予防歯科の重要性が高まる中で、歯科衛生士の専門性を活かした多様な働き方が注目されています。
フリーランスの歯科衛生士として考えられる働き方には、複数の歯科医院と契約を結んで勤務する方法、訪問歯科診療に特化した活動、予防歯科に関する講演や研修の講師業務、口腔ケア用品の開発への参画などがあるでしょう。
また、最近では歯科衛生士による口腔ケア指導やメンテナンス専門のサロンを開業するケースも増えています。歯科医師の指示の下での医療行為ではなく、予防やメンテナンスに特化したサービスを提供することで、独自の価値を創造することが可能です。
フリーランスとして働く場合は、安定した収入の確保や営業活動の必要性など、課題もありますが、自分の専門性を最大限に活かし、理想とする歯科衛生士像を実現できる可能性があります。
働き方 | メリット | 注意点 |
派遣 | 多様な職場経験、柔軟な勤務 | 収入の不安定性 |
パート | ワークライフバランス重視 | キャリアアップの機会限定 |
フリーランス | 専門性の最大活用、独立性 | 営業活動、収入管理が必要 |
転職回数は過去の経験。未来のキャリアは今から作れる

転職回数が多いことを悩んでいる歯科衛生士の皆さんに覚えておいていただきたいのは、過去の転職経験は決して無駄ではないということです。むしろ、多様な職場で培った経験や知識は、あなたの大きな財産となっています。
重要なのは、これまでの経験から学んだことを整理し、次のキャリアステップに活かしていくこと。転職理由をポジティブに捉え直し、面接では自信を持って自分の経験をアピールしていきましょう。また、同じ失敗を繰り返さないために、職場選びの軸を明確にし、慎重に見極めることも大切です。
歯科衛生士という専門職には、正社員以外にも様々な働き方があります。自分の価値観やライフスタイルに合った働き方を見つけることで、長期的に満足できるキャリアを築くことができるでしょう。
転職回数は過去の事実ですが、未来のキャリアは今この瞬間から作り上げていくことができます。自分らしい働き方を見つけて、歯科衛生士としての専門性を存分に発揮できる環境を手に入れてくださいね。